この社会がどうしても許せなかった頃の話#4
※前回
唯一の同期に「鬱なんですけど」と打ち明けられる。
これは「鬱病です」って告白したわけじゃなくて、「なにこの職場辛い」という相談だった。
後でわかったことだけど、この同期には姉が居て、姉もこの会社の別の拠点に居るのだそう。
そしてその姉は、現在休職中らしい。
おそらく、この同期の家庭は代々この会社に入っていて、精神を病んだ姉の事を知りつつも、家族の後押しによって勇気を出して入社。で、結果この環境。ってところだろうか・・・。
姉を見てきて自分がこの先どうなるかわかっていたから、唯一の同期の私にこんな事を言ったんだと思う。
私は年齢的には上だったし、一緒になって落ち込むと変な感じになるから、とりあえず励ました。
同期の子はもう見えてないのだろうけど、食堂だから、周りに偉い人とか居たし。
私はとにかく平気な社員ですよーみたいな振る舞いで、頼れる人です感を出して元気づけた。
ハチャメチャにお腹壊しながら。
ここで週末に入ってゆっくり休んだ後
翌週はバイクの安全運転講習みたいなやつで、別の拠点での研修になった。助かった。
この講習では、研修で同部屋だったMさんが居た。(この人が記事で出るのは初めて。探偵みたいになってたのは、IさんとSさん。)
そう、ここはMさんが配属された拠点だった。
Mさんの顔を見るのがもう懐かしい感じがした。
少し談笑の後、一番気になっていた事を聞いた。
私「飛び込み販売とかやった?」
Mさん「え、なにそれ(ドン引き)」
私「え、なんか初日は一人で街で挨拶回りして、2日目は商品売った」
Mさん「なにそれ(ドン引き)」
Mさん「うちではまだ座学してるよー。商品なんて売り方分からないし」
もうあれだね、私はヘラヘラするしか無かった
いや、たぶんそうなんだろうなーって、薄々勘づいていたから、もはや確認みたいな質問だったんだけど。
元々、私が着いた職業は、資格を持ってないと売れない無形商品を売るというもの。
泊まり込み研修の最後で資格試験を受けた。その結果が来るのは5月の中旬なのね。
つまり、普通は4月っていうのはまず準備期間なはずで、なんか資格無くても売れるよくわからない有形商品を、ぶっつけ本番で、知らない人に売るとかするはずが無いということ。
商品についてゆっくり座学して、時には教育係の先輩について行って、5月中旬で合格通知をもらって、教育係が後ろで面倒見ながら、時間をかけて、はじめて具体的な話になっていく。ということ。
私「そ、そっか・・・」
Mさん「やばいねそっち・・・スパルタなんだね」
私「スパルタっていうか、なんだろうね。」
この瞬間確定した事実はあまりにも残酷で、私はいつの日か恐れていた「地獄の中でも、更なる地獄」を引き当ててしまった事を、否が応でも自覚しなければならなかった。
急激に頭に血が昇る時に感じられる「ギュルギュルギュル」という、血の濁流の幻聴が聞こえていた。
私は運転講習1日目から帰宅してすぐに、研修でLINE交換した人に個別や、研修LINEグループの人たち計20人くらいに聞いた。
元同部屋Iさん「座学してるよ。来週先輩に案内されるとかなんとか。緊張する。」
元同部屋Sさん「座学してる。まだ資格持ってないもん」
元研修生A「暫くは先輩に商品の説明してもらってる」
元研修生B「先輩の仕事に後ろからついていっただけだけど、もう気が重い」
このBさん以外はみんな座学状態だった。まぁそうだよね。
・・・。
私は僅かな運転講習期間中に、転属の方法を必死に調べた。
でも、そんな情報得られるはずが無かった。
途方に暮れていた矢先に、1通のLINEが来た。
元同部屋Sさん「そういえば、会社のPCだけから入れる社内サイトで"転属申請について"みたいなページあったよ」
元同部屋Iさん「すげえーー、よくわかったね」
私「マジ!?!?!?」
元同部屋Sさん「研修で毎日見てるから」
頼もしいなこの子って思った。
ここで問題なのは、
うちにはその""PC""が1台しか無い。
40人くらいで1つのPCを使ってる。
はい、この職場、PCに待機列ができるんです。
あの、ここ、2015年の日本なんですけど?
つまり、新人であるカースト最下位私がその大人気PCを使おうものなら「何やってんだ」となるわけで・・・。
うーん無理では?
業務再開の日
この日、外部から偉い人が来た。
エリアマネージャーのような人と言えばわかりやすいか。
上司「おーい!若い衆!こっちに来て、○○さんに挨拶しろ!!!!(大声)」
なんか始まった。
私を含めベテランではない何人かが駆け寄って、並んで一人づつ、ヘコヘコと挨拶する。
挨拶待機列だ。なにも嬉しくない。
私の番が来た。
愛想笑いをしながら、お辞儀をする。
ここで上司は顔を真っ赤にして、鬼の形相になった。
#5に続きます。