なにかを書きたい時の場所

気分で自由に書きたいことを書きます(基本21時更新)

この社会がどうしても許せなかった頃の話#3

 

 

※前回

 

刑務所のような研修の終盤

 

元々、同部屋の子が会社へ不信感を持つようになったきっかけは、

社会を許せない気持ち持っていた私が「ねえ、これっておかしくない?」提起してから、似てる性格の同部屋の子は同意して、そのうち2人が探りを入れ始めた。

 

きっかけでは私のせいといえばそうなのだけど、同部屋の子は本当に私とよく似ていたから、私が居なくても時間の問題だったと思う。

 

私は能動的に探りを入れるほどの勢いではなかったのでびっくりしたし、二人が次々とヤバい物を見つけてくるので、相乗効果によって私の部屋のメンバー4人だけ不信感が異常値に達していた。

 

授業で「これが社会人だ」と刷り込まれたほとんど疑問を持っていない周りの研修生は、これからの進路への期待を膨らませ、毎日キラキラしていた。

 

一方私の部屋は・・・

 

死にてぇ~w

デレステやろwww」

「はやく辞めたいな。どれくらいで辞められるかな。帰って進撃の巨人読みたいな」

「いっそヤク中とかになったら辛くないのかも」

「自分たちは使い捨てのゴミだったんだ。お母さんになんて言おう

 

入社2週間とは思えないモチベの低さ。

 

私は悪態こそ吐きつつも、一応良い企業に入れたとは思っていたので、試験勉強はしっかりやっていた。

 

同部屋の子は普通に仲の良い友達という感じだったし、研修後に配属が決まったら離れ離れっていうのは、ちょっと惜しいと感じた。

中には、ずっと連絡を取り合う仲になる人も居るらしい。

同部屋の3人とLINEの交換をして、グループも作った。

他の研修生何人かとも交換したと思う。

 

 

4月下旬

配属日

 

詳しいことは書けないのだけど、大きな社屋の精鋭部隊とやらに配属された。

まずいろんな部署に挨拶。

 

さて、ここからは実務の研修かな?

 

確か「学校」では、教育係の先輩の営業に数ヵ月付いていって、だいたいの流れを教えてもらうって説明を受けた。

 

 

しかし、その教育係とやらの姿が無い。

 

上司「よし、挨拶は済んだな。じゃ、一人で町に出て、飛び込みで挨拶周り行ってこい!」

 

 

 

 

私「?」

 

上司「行ってこい!」

 

 

何が起こったのかわからないけど、要は初日から、知らない地域の、知らない人の家にピンポンして、外まで出てきてもらって「新人です!よろしくお願い致します!!!」って言うって事。

 

急に放り出されたので、頑張ってやった。

 

町の人々の反応

 

ご年配の方「あぁ~はい、若いねえ~、よろしくねぇ~」

若い人「は?え?誰?」

中年層「ん?忙しいんだが?なんなの?」

 

 

なんか、お腹壊した。

この時はなんでお腹壊したのか、わからなかった。

 

 

2日目

 

教育係の先輩とやらに初対面した

 

泣きそうな顔でせわしなく外出する準備していた。

 

・・・研修は?

 

泣きそうな教育係「ごめん、ここは研修とか無いんだ。僕と話す機会もほとんどないと思う。じゃあ行ってきます」ガチャッ・・・

 

胸の奥がスーッと冷たくなった。

冷たい鉄の延べ棒が胸の奥に現れる感覚。

 

 

この日、午前中はひたすらハンコを押す作業があった。

ハンコって普段そんな押さないし、私は不器用なので、印をしっかり持って押しても少し傾いてしまう感じだった。

 

それをベテランの先輩が見ていた。

 

ベテランの先輩「お前、1年後もそんなハンコの押し方で済むと思うなよ?」

 

 

え?今なんて言った?

 

人間、明後日の方向から文句が飛んでくると、相手がどんなに真剣でも、こちらはキョトンとしてしまうらしい。

 

 

午後

 

上司「行ってこい!!今日はこれ売ってこい!な!」

 

 

え?ん?なんか

 

商品を売ることになった?

 

一人で?

え?私が?

 

前説明なんもなしで?

 

というか、今初めて渡されたもの知らない人にセールスするの?

 

ちなみに研修の「学校」では資格試験の勉強が中心なので

 

物の売り方、作法を一切教わっておりません

そう、皆さんと同じ、ただの人です。

 

私、人に物を売ったことが無い。

 

でもきっと、売らないとすごく怒られるのだろう。

 

外に放り出されて、この商品はどうやって売るのか、暫く観察した。

 

その後はもう、ひたすらピンポンして回った。

 

知らない町の、知らない住宅地で。

知らない家の敷地内の玄関先まで入って。

 

 

ピンポンして「なんだよお前。いらねぇよ」の攻撃を食らう。

 

なんか、視界がビンの底みたいになった。本当。

あと、盛大にお腹壊した。

 

3~4時間この不審者行動をやって、結果として20人分ほど売れたと思う。

勇気を出して中学校とか幼稚園とか豪邸とかにも突撃したのが功を奏した。

 

夕方になり、帰社。

 

 

実は、同じ配属先になった同期が1人居た。

研修の時は寮の棟も違ったし、「学校」ではほぼ話したこと無かった。

食堂で軽食をとっていたら、同じく帰社した同期が私の前に座った。

 

チームも違うし忙しくてしょうがないから、話す事なんて無いはずだったし

なんだろう?って思った。

 

この時、初めてちゃんと会話したと思う。

 

同期「私、もう鬱なんですけど・・・・。どうしたら良いかわかりません・・・」

 

ハッキリと、そう言われた。

 

私「え?」

 

配属2日目の最初の会話とは思えない相談を受けた。

 

#4に続きます。