この社会がどうしても許せなかった頃の話#5
※前回
エリアマネージャーに笑顔でお辞儀をした瞬間
上司「あ!?!?おい白歯を見せるな!!!何考えてんだ!!!」
・・・え?ん?今、なんて言った?
ちょっとまって。前のハンコの時と同じで、今、何言われたかわからなかった。
よくわからないけど、脳がバグってキョトンとしながら挨拶の続きをしたら、そのまま挨拶が終わった。
席に戻って、上司がなんて言ったのか考える。シラハってなんだ・・・?白い、歯?
どうやら、偉い人の前では歯を見せてはいけないということらしい。
何だろう、手が震えた。
あと、すごくお腹壊した。
お昼になっても、お昼ご飯を食べるなんて、
そんな呑気なことをする気にはなれなかった。
私はこの時
「これが常識とされる場所で、40年近く働き続ける・・・?」
と、自分への問いが頭を過ぎった。
いや、無理じゃないか?
全くそんなビジョンは見えなかった。
この辺、適合できる営業職の人から見れば、なんとも脆く情けない精神だろう。
実際、私は神経質だと思うし「辛い時期を40年間引き伸ばして概算して、継続可能かを考える」っていうのは適切じゃない。
波はあれど、頑張って成績を残せば好転することも十分あるだろう。
それでも未来が見えなかった理由としては、大きく分けて下記の2つがあった。
1.会社のルールに矛盾が発生している。
丸く納めるには、あえて破らなきゃいけない。かつ、破ってることを上司が発見したらいけないので、上司に見つからないように、スマートに破らなければならない
例1:勤務中お金を一切持ってはいけないルールだし、発見したら処分だが、真夏は熱中症対策の為に、水を買って補給しなければならない
例2:私用携帯は勤務中に持っていたら処分だが、何らかの端末でGPS情報見たりして地図使え
全員が「うまくやっていた」。
たぶん私が居た拠点だけのヤバイ歪みなんだけど、なんだこれは。
あと、ベテランはルールを破ってても怒られないけど、新人や、成績が飛び抜けてない人はめちゃ怒られた。
なんなら怒ってる側も毎日そのルール破ってた。
心の中で
「いや、え!?あの人はいいんですか!?見て!!破ってますよ!ほら!見て!?!?すっごい破ってる!!!毎日あなたの目の前で破ってる!!!っていうかよく見たら今あなたも破ってる!!!今!!あなたもそのルール!破ってます!!!これ何!?ドッキリ!?」
ってなって、頭がおかしくなりそうだった。
2.説明を1度されたことはもう聞いてはならない。全て1回で覚えること。
ある程度キャパやブレはあるけど、私は昔からエピソード記憶は大得意だった。
でもこのルールのヤバさの本質はそこじゃない。
相手が「俺、これ前に言った気がする」と思ったら、たとえ初めて聞くことであっても、説教が始まるというもの。
同期が「これってどうなんでしょう・・・聞いていいんですかね・・・?」と私にヘルプを出して、同期よりも気丈に振る舞おうとしていた私が上司に質問を行う。
という流れができていた。
尚、気軽に質問できる空気は一切無い。
上司「それは前に言った気がするぞ!?ちゃんと覚えてんのか!?!?もう言わないから思い出せ!」
同期と一緒に説教を受けた後、席に戻る。
同期「思い出せって・・・さっきの、教えられたこと・・・ないですよね・・・(泣きそう)」
私「そうだね~~!わからないね!(苦笑)(平気な社員のつもり)」
こうやって情報が降りてこないから、みんな業務中に「正規の方法わからなくて我流だけど、バレないようにやってる」がたくさんあった。
世の中のアルバイトでは、そういうのよくあるし、私もバイト時代の接客業でそういうのはまぁまぁ経験してたけども・・・
でもこういう客先じゃない場所というか、スーツを着込んだ人たちの組織内部での体制(?)っていうのはもっと建設的かも、とか、勝手に思ってた。
塾講師のバイトやってた頃のほうがもっと合理的な体制だったし、なんなら接客バイト時代の環境よりも酷く非合理な環境。
まさに、私が最もこの社会に対して「おかしいな」って思ってる事の集大成みたいな感じだった。
結局は"場所による"って事で、雇用形態、組織形態やらで合理性に良し悪しの差が保証される事は無い。
ゴールデンウィーク中、暫く考えていた。
まだ5月なのだけど、これは、あれだね。
駄目だ。辞めよう。
私はそう思った当日中に退職届を書き、速達・簡易書留で、会社へ郵送することにした。
退職の通知には2種類ある。
【退職願】
退職をお願いする通知。
企業側に受理するかどうか、決定権を与える。
内容証明、書留を使って確かに届けた証拠を残したところで、企業側が拒否、返送などができる。
【退職届】
退職すると宣言する通知。
こちらが決定したので、企業側は原則受理しないといけない。
何を言おうと関係ない。
ざっくりこんな所。
私は【退職届】を使った。
勝ったな。
そして・・・
「会社来いや。受理しない。」って手紙とともに、
返送されてきた。
#6に続きます。