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この社会がどうしても許せなかった頃の話#7

 

※前回


 

Oさんには、私の上司が怪しいという、確固たる自信があった。

 

でも私は、Oさんとはほとんど話したことが無かったから、最初はただ不思議だった。

 

実はこの人は人事も担当していて、研修学校での私の事を一方的に、詳細に知っていた。

 

Oさん「君みたいな人は、何かとても大きな障害にぶつからないと、こういう事はしない。」

 

Oさん「僕は研修生の中から、確かな手応えを感じて君を選んだし、絶対に何かあったんでしょう。辛いだろうけど、話して欲しい。」

 

私には余力が残っていたので、教育など無かったことや、これまでの理不尽を全部話した。

 

Oさん「研修無かったの!?!?」

 

Oさんは本当に驚いていた。

 

Oさん「いやぁ~そうだよなぁ。おかしいと思ったんだよなぁ・・・君を見かけた時、いつも一人で外に出ていくんだもんなぁ・・・。外で待ち合わせしてるのかな?って思うようにしてたんだけど、やっぱ、そんな事無かったんだ。」

 

Oさんは悔しそうにしていた。

 

打ち明けといて何だけど、この時、私は本当にこの会社に不信感を抱いていたので、

「退職しかないな」ってことを早く納得してもらって、帰りたかった。

 

だってこの場、私にメリットが無いもん。

 

そりゃあドラマとかになると何か感動のシーンみたいになるんだろうけど、

実際はこんなものだ。

ただ帰りたい。

 

Oさん「辞めるのなら、せめて君の権利は最大限に行使して欲しい」

 

この会社、新卒入社時から有休が20日付与される。

それを残りの日数全部使って、5月分の給与は満額払おうというものだった。

・・・そういえば、最初の3週間の研修を、全部有休突っ込んで休んだ伝説の神が別のグループに1人居たっけな・・・。

 

よくわからないけど、もう会社に行かなくていいなら助かった。

この状況でヤバい上司と、あと半月も過ごすのはたまったものじゃないから。

 

Oさんは色々と優しい言葉をかけてくれたけど、ここからどうやって経歴を修正しようか必死に考えていたので、あんまり頭に入ってこなかった。

 

今では感謝している。

 

 

ここは、残念ながらフィクションの世界じゃない。

 

ここからこの会社でOさんが全面的に戦ってくれての逆転劇だとか全然無いし、

何か都合の良いセーフティネットが既にありましたーみたいなご都合展開も勿論無い。

 

私が書いた退職届は受理されなかったけど、会社所定の退職願を渡されて、それを書いたら受理された。

「本当にいいんだね?」とか言われたけど、心が死ぬよりは良かった。

 

翌日、私は3種類の転職エージェントに登録した。

「いや、活発だね。本当に落ち込んでる?」とかちょっと言われた。

うん、私なりに落ち込んでる。

 

転職エージェントは、人事やっていたり、転職経験がある人じゃないと馴染みがないサービスだよね。

 

ざっくり説明すると、転職したい人が無料で利用できるサービスで、転職できそうな企業を希望通りに、不定期にいくつか紹介し続けてくれる。

面接練習とか、書類添削とか、なんでもサポートしてくれる。

無料で。

 

なんで無料なのかっていうと

このエージェント達は、実際は企業から「こんな人材が欲しい」って相談を受けて、エージェントは条件に合った人を紹介する。

無事採用となった時に、企業は人材紹介報酬として、このエージェントに定額または年収の○○%とかを払わなければならない。

そんな感じの「企業」対「人」のマッチングサービスってとこだね。

 

このサービス、登録するとエージェントから鬼のように電話がかかってくる。

早く人を狩って企業に渡すほど、エージェントの歩合給もアップするからね。

 

マッチングサービス3種類も登録したのは、エージェントにも「利益優先型」と「人情優先型」が居るからだ。

前者は、経歴に傷が付いてる人にはもうブラック企業を勧めまくる。最低限の求人のジャンルくらいしか希望に合わせてくれない。

うん、エージェントも労働者なんだから、自分の成績を上げにくい私みたいな「経歴に傷が付いてる人」に親切にかまけてたら、自分の時間が勿体ないもんね。わかるよ。

こういう転職サービスの利用考えてる人は、ここに気をつけてね

 

後者は、経歴に傷がついてても、求職者を尊重する。求職者はお金を払わないのに。

一見、なんか聖人のようだけど、昨今の荒んだ社会を見ていて、

なんかやるせないから「心から納得の行く良い転職をして欲しい。」って少なからず思ってるエージェント、意外と多い。わかるよ。

 

私は求職者なので、後者の人情優先型のエージェントを探すためと、サービス間を比較できるようにするために、3種の転職エージェントに登録した。

 

バカみたいに電話かかってきた。

 

なんか、ちょっと電車乗って降りたら不在着信10件くらい入ってるし。

怖。

 

エージェント3社のうち、2社は大手、1社は小さい場所。

 

大手2社はなんか雰囲気は優しいけど、上から目線で嫌な感じがしたので、早々に切ることにした。あと、業界誰もが知ってる真っ黒企業をぽんぽん投げてきた。

 

残りの小さな1社のエージェントは、別に優しくないしホワイト企業を勧めてくる事もなかったけど、ガツガツしていなかった。

「この経歴の人はこの辺の企業」とかじゃなくて、

「こういう会社好き?こういうのは?」みたいな勧め方をしてきた。

また、私が自発的に「この企業応募したい」と言うと、必ず「良いよ」と言った。

私は、この人にスケジュール調整を任せることにした。

 

私は、求人は自分で探した。

次は必ず、良い環境の企業を選ばなければならなかった。

では、どうやって見抜くのか。

この時、ずっと社会を許せない気持ちを燻ぶらせていた私なりに、ホワイト職場を引き当てる確率を上げる持論が構築されていた。

 

・配属先が決まってから初めて一緒に働く人がわかるのは、多大なリスクがある。

そもそも選考で一緒に働く人が不明なのは間違っているので、そうでない会社を選ぶ

・珍しい会社を探す。私が今まで見てきた珍しい職業の人は、だいたい浮世離れしていて、面倒くさい人間関係とはほとんど無縁の人が多かった。

・会社の口コミを書くサイトに、悪評がない。更には、ほとんど口コミがない場所は、単純に離職者が居ない=辞める理由が無い企業である。

 

私はこれらの条件を満たす企業を必死で探した。

 

1社だけ見つけることができた。

 

 

「人工DNA製造企業での研究開発職」

 

 

当時、この企業は上記の持論の条件を全て満たしていた。

 

「これだ。」と私は思った。

 

#8に続きます。